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ゾンビが映画史に登場したのは、今から90年以上前。1932年に公開された、ヴィクター・ホルベリン監督が手掛けた『恐怖城』が世界初のゾンビ映画と言われている。同作に登場するゾンビは、何らかの理由で生き返った人間が同じ人間を食い散らかすという一般的にイメージされるゾンビではなく、奴隷として使役される死者たちだった。
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現在スタンダードになっている「噛まれた人間は次々と感染し、ゾンビ化していく」という定番スタイルを確立させたのが、ロメロ監督による白黒映画『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1968年)である。同作では襲いかかる死者(ゾンビ)の群れから生き延びるため、登場人物がそれぞれの立場を優先して勝手な行動を取り、破滅していく様子が描かれている。
劇中で登場するゾンビは人肉を食い散らかし、食われた人間もゾンビ化していき、群がるゾンビを倒す唯一の方法は脳を破壊しなければならないこと。ゾンビ映画を見たことがある誰しもが連想するこの一連の流れは、後に数多く製作されていくゾンビ映画にも引き継がれており、同作は映画史に登場する“ゾンビの定義”を確立した一作として今もなお根強い人気を誇っている。
513323 https://tv.rakuten.co.jp/search/?genre_code=all&keyword=Dawn+of+the+Dead&frm=1
1970年代になるとロメロ監督が手掛けるゾンビ映画2作目、その名も『ゾンビ(原題 :Dawn of the Dead)』(1978年)が劇場公開された。物語は死者が突如としてゾンビとして蘇り、生者を襲い始めるという衝撃的な状況から幕を開ける。ゾンビの群れは人間たちを襲って噛みつき、瞬く間に町中はゾンビだらけとなっていく。
ゾンビの群れから脱出したテレビ局員のフラン(ゲイラン・ロス)と恋人のスティーヴン(デヴィッド・エムゲ)、SWAT隊員のロジャー(スコット・H・ライニガー)とピーター(ケン・フォリー)は郊外の巨大ショッピングモールにたどり着く。物語の大半はこのショッピングモールを舞台としており、彼らが一致団結しながらモール内のゾンビを掃討。食料や物資を手に入れ、決死の生き残りを懸けるサバイバルだ。
また本作で登場するゾンビは、昨今の作品と比べると圧倒的にスローな動きで人間たちを襲いかかるのも特徴的。人間たちの体力問題を差し置いたとしても、彼らは走ってゾンビの群れをすり抜けることも可能だし、ゾンビ1体のパワーもそこまで強くないことも、現代の驚異的なパワーとスピードを兼ね備えたハイブリッドゾンビとの違いだろう。ちょっぴりノロマなゾンビを相手に、登場人物たちが余裕を見せることも多く、恐怖というよりもエンタメ性の強いコミカルなシーンも多く取り入れられていることも印象的だ。
さらに本作は劇場公開版の他にロメロ監督が最初に編集し、他では見られないシーンも多く含んだディレクターズカット版、監督の大ファンでもあるダリオ・アルジェント監督が自らロメロ監督に協力を申し出て、独自の編集を施したダリオ・アルジェント版があり、バージョンの違いを見比べるというマニアックな楽しみ方もできる。
なお、実は1979年に日本で公開された「日本初公開版」も存在し、アルジェント監督版をベースに、ゾンビ発生の原因として「惑星イオスの爆発による光線」が追加されるなど、日本独自の演出が施されている。
1990年代、そして21世紀になると日本のコンピューターゲームを映画化した『バイオハザード』シリーズが登場し、ヒロインが次から次へゾンビを倒していくアクションシーンも大きな話題となった。また、エドガー・ライト監督が手掛けたイギリスのゾンビ映画『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004年)は、ロメロ監督の作品をオマージュしており、劇中ではロメロ作品のようにスローなゾンビを相手にクスッと笑えるコメディー要素が多く組み込まれた。
一方でウイルス感染型の凶暴なゾンビと人間たちが攻防を繰り広げる映画『28日後』(2002年)では、ロメロ作品のゾンビとは180度異なる超ハイスピードで凶暴なゾンビたちが人間たちに襲いかかる様子が描かれている。
今回取り上げた作品はゾンビ映画のほんの一部であり、洋画のみならず、日本映画、韓国映画などでもゾンビをテーマにした作品が多数製作されている。ぜひ、一度ゾンビ映画の原点としても知られているロメロ監督の名作を視聴し、現代の作品と比較してみてはいかがだろうか。
(文・suzuki)
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